当記事では、アニメ「チ。ー地球の運動についてー」を観ての、感想を踏まえて紹介していきます。
本作は、ビッグコミックスピリッツにて連載された、魚豊による漫画を原作としたアニメです。
15世紀のヨーロッパで、教会により禁じられた学問である、地動説の研究に人生を捧げた人々の姿を描き出した作品です。
知識の探究、継承する姿勢の美しさに感動を覚えさせられること間違いなしです。
出典:チ。 ―地球の運動について― | アニメ動画見放題 | dアニメストア
©魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について―製作委員会
見どころ
時代を超えて受け継がれる知性
教会によって知識を制限された15世紀のヨーロッパで、宇宙の真理を追い求め天文学を研究する人々が描かれます。
その中でも世界の共通認識として人々に認知されている天動説を盲信することなく、常識を否定し地動説を導き出した人々。そんな彼らが研究の完成に命を、人生を費やし、文字に残すことにより後世の人々に受け継ぐある種の逞しさを感じさせられます。
地動説は禁忌とされており、見つかれば教会により異端として捕縛、拷問の後に改心を迫られる。そんな障害を乗り越え命をかけてこの説を守り、受け継ぎ、宇宙の真実の解明を目指す姿に胸を打たれます。
天文学に生きた人々の生き様
教会による知識の占有によって毒された世界で、人々は聖書の記述や教会の教え、神学こそを正しいと信じ、教会が異端としたものを排斥する。そんな世界にあってもなお疑問を持ち、世界を美しいと信じ、神を信じ、真理を探究する研究者たちはその命をかけて感動を追い求めます。
死後の世界に救いがあると信じられている世界で現世に価値を見出し、真理の探究のためなら自身の身の安全や、約束された将来など瑣末なこととし、真理を追い求めることによって神の威光を証明する。そのためには自身の歴史も、人類の歴史を否定する大罪を犯すことさえも厭わない、研究者たちのその生き様に魅了されます。
天動説では説明することのできない星々の動きのわずかな誤差、そんな些細なことに納得することなく観測、計算を詰めてその動きを研究する。
空に浮かぶ星々に心を奪われ、天文学に宇宙の真理への道を見出した人々による研究の道程、その歴史を描き出したこの作品に心奪われること間違いなしです。
感想(ネタバレ注意)
とりあえず序盤の主人公ラファウが速攻で退場してしまったことには衝撃を受けました。
12歳の少年が感動を優先し、自身の信念に従って自ら命を絶つその姿勢には非常に感動しました。こんな少年が、ほんの少し前まで利口な生き方を選び他人を見下していた少年が、些細なきっかけでこうも変わるものかと、大いに心揺さぶられるとともに、自分の人生において一度でも、そんな命を懸けてもいいと思えるほどの感動を味わってみたいものだと思いました。
ラファウは言うまでもなく、オグジーとバデーニなど、道半ばで倒れることとなる地動説の関係者たちが、世界の美しさに対する感動を胸に夜空を見上げながら死にゆく姿には、譲れない信念のようなものを感じさせられ、非常に感動しました。
そんな宇宙の心理に人生をささげた彼らが、時代を超えて研究を受け継ぎながらも何人もの力が合わさって地動説が完成に向かうことを考えると、胸が熱くなります。
こんな人におすすめ
現実との関連性の強い作品を好んで観る人、大河ドラマなどの過去の事象を描いた作品を観る人にはぜひお勧めしたいアニメです。
また、視聴することで学問に対する見方や姿勢が大きく変化する作品だと思うので、受験を控え不安を抱える学生などには特におすすめな作品です。